釧路湿原に目立ち始めた「ソーラーパネルの海」問われる「自然との共生」 - HTB北海道ニュース 釧路湿原に目立ち始めた「ソーラーパネルの海」問われる「自然との共生」 HTB北海道ニュース (出典:HTB北海道ニュース) |
釧路湿原では太陽光発電所が増え、その風景を変えつつあります。
雄大な自然が広がる釧路湿原、大部分は国立公園にも指定されていてオジロワシやタンチョウなど天然記念物も生息する自然の宝庫です。空から見てみると、驚きの光景が広がっていました。
一面に広がっているのは、ソーラーパネルです。
一ケ所だけではありません、湿原や周辺のあちこちで地面を覆うように敷き詰められています。釧路市の郊外を車で走ってみても、いたるところで目につきます。
■櫻井靖大記者:
「住宅の近くにもソーラーパネルが並んでいます。そして反対側にもソーラーパネルありました。」
「あそこの斜面すごいですね。一面ソーラーパネルで埋め尽くされています。
」なぜこれほどまでに、釧路湿原の周辺で太陽光発電が行われているのでしょうか。
■北海道教育大釧路校 伊原禎雄教授:
「日照時間が長いということと、平坦地が広がってる」「道東は積雪がかなり少ないので、年間を通して発電ができるというのはかなり電力会社としては魅力的なんだろうと」
化石燃料を燃やす火力発電と違い、二酸化炭素を出さない太陽光発電は、脱炭素化に向けて重要なエネルギー源と言われています。
2010年度の発電量は全体のわずか0.3%でしたが、おととしはおよそ9.2%に。
国は2030年度には16%程度まで引き上げることを目指しています。
多くの電力を消費するのは札幌や東京などの大都市圏。
その分を補うかのように地方では太陽光発電が増え続けています。
国のデータよると釧路市内で稼働中もしくは建設が認められている太陽光発電所は、2012年の25か所から、おととしには577か所と20倍以上に膨れ上がっています。
環境への影響を調査する釧路市立博物館によると、昨年度だけで、新たにおよそ976ヘクタール分の設置の問い合わせが来ているといいます。
これは札幌ドームおよそ180個分です。
■釧路自然保護協会神田房行会長「もう湿原らしさはなくなりますね」湿原にソーラーパネルが増えていく様子に地元の環境団体は肩を落とします。
見渡す限りソーラーパネルが広がるこちらの発電所、1年に一般家庭およそ5000軒分の発電が可能だといいます。
「本来はタンチョウとかチュウヒとか天然記念物級が生息するはず」
「残念です。ソーラーパネルの海みたいになってしまって」釧路市によると、湿原周辺のほとんどは自然保護のため、建物を建てることはできませんが、建築物ではないソーラーパネルは規制の対象外だということです。
危機感を募らせる市は去年7月、自然との共生を求めるガイドラインを制定、今年度中の条例化を急ぎ、新たに罰則も設ける方針ですが、効果は未知数です。
「いまから釧路市と道の職員が現地調査に入ります」一方で、違反して建設を進める事業者の存在も明らかになってきています。
去年12月、東京の事業者は道が管理する保安林の区域に無断で水路を掘っていることがわかり、工事中止の行政処分が下されました。
先月には事前の届け出なしで建設を進めていた発電所があることもわかりました。
この場所は絶滅危惧種・キタサンショウウオの生息エリアでもあります。
キタサンショウウオは近年、太陽光発電所の増加により生息エリアがせばまり4年前には絶滅の危険度が引き上げられました。
「近い将来、野生での絶滅の危険性が高い生き物」とされています。
この発電所についてHTBが調べたところ、事業者は東京にも支社を置く、スペインの企業であることがわかりました。
この企業に対して、経緯や今後の対応について問い合わせてみたところ、「この度のお問い合わせに対する対応は致しかねます」とかコメントしています。
かつて、この土地を所有していた男性に話を聞くと以前から「買い取りたい」という問い合わせが相次いでいたといいます。
以下ソース
動画はソースで
https://www.htb.co.jp/news/archives_25641.html